「6年目の帰宅」を迎えて

2006年度 PTA関東支部広報 副支部長 赤坂様

まずは卒業を終えた今、とにかく学校・寮関係者の皆様に感謝申し上げます。
紆余曲折、いろいろありましたがとにかく6年間で卒業できたことは、半ば子育てを放棄した親としてはなんとも感謝の言葉を尽くしきれません。

子供、とくに男子にとってもっとも難しく、将来にわたってもっとも重要な基礎の出来上がる時期に、子供を守るのではなく突き放してしまう選択をしておいてやや勝手ですが、たとえ今は反省や後悔があったとしても永い目で見れば得るものが多かったと信じていますし、多分それは間違いの無いことだと思われます。

生活の中心が親と自宅ではなく友人と寮(学校)であり、始終何から何までコントロールされることはない代わりに、さまざまな場面で自己責任で決断していかなければならない環境を生き抜いてきた子供は、本当にたくましくなります。

身の回りの整理整頓、お金の管理、放課後・休日など自由時間の過ごし方、勉強の仕方から青春のさまざまな悩みにいたるまで、ほとんどすべてを自分自身、あるいは友人関係の中で解決してきた経験と自信は、親とのかかわりだけではなかなか得ることのできない貴重なものであったのではないでしょうか。

いかに放任主義であろうとも、子供から見れば最後に面倒を見てくれる、責任を取ってくれる、頼れる親が一緒に暮らしているのと、めったに会えないのとでは緊張感は全く違っていたはずです。

そう思うと、問題を起こして連絡を受けたり、時には呼び出されても、何か本人なりの状況において選択した行動が、不幸にして一般的に見れば問題行動として認識されたのだろうと思うこともでき、とても頭ごなしには叱り飛ばせ無いという気持ちになります。

なにしろまだ中学・高校生なのですから、親の監視もなく一人で自由にできる時間が与えられたなら、何もやらかさないほうがおかしいのです。
あとはそれらが規則上、あるいは社会通念上許される範囲かそうでないかの違いだけでしょう。

そうやって、ぶつかったり失敗したりしながら物事の善悪やバランス感覚を自分なりに体得してきた子供たちは、将来社会人としてもかなり手ごわい人間になってくると思われます。

今後大学などに進学して、さらにその精度を自ら上げていくのでしょう。

ともあれ、今、家ではちょっと変わった人格の大人が突如出現し、一緒に暮らし、時に勝手に行動したりして平和な家庭を翻弄(?)しています。

親としては、ほとんど一緒に生きられなかった6年間を取り戻そうとするかのように、何かにつけて話しかけたりおせっかいを焼いたりして煙たがられ、またそれが楽しみに思える今日この頃を過ごしています。

                                                                                                                                                                        • -